居合道について
「居合道」と聞かれてすぐにわかる方は少ないでしょう。

  私たちも「ご趣味は?」と聞かれて「居合道です」と答えても「えっ?」となったり

  「あの巻き藁斬るやつ」とか「座頭市でやっているやつでしょう」と言われ

「どうしよっかなー・・・」と微妙な気持ちになることがあります。

では「居合道」と何なのか! 武道に詳しい方には怒られるかも知れませんが

 誤解を恐れず説明したいと思います。

            時代劇の一場面 こんなやりとりから始めましょう

        ・・・・・店で一人の侍が食事をしている

        数人の悪者が押しかけてきて 因縁をつける  「おい! 今度こそ決着をつけてやる

 表にでろ!!」

        路地にて抜刀する悪者たち 侍を取り囲む 「どうした 抜かねーのか」

        侍は刀も抜かず たたずみ 周りの様子を伺うのみ そして間合いをつめる悪者 

        悪者の1人が思い出したように  「こいつ たしか居合の使い手だ」

   悪者一同に緊張が走る・・・・・

 

「居合」はお互い刀を抜いて戦う「立会い」と対比されます 現代剣道のようにお互い竹刀を構えて 遠い間合いから さあ開始 ではなく 「居合」が威力を発揮する場面としては「家中で敵の襲撃にあったとき」「道中突然の攻撃にあったとき」「槍・なぎなた等 長モノの武器が戦闘中に使用不能となったとき」など 突然の状況変化に対し 腰に挿した(吊るした)刀で対応する業が「居合」です

「居合」は刀を挿した状態つまり「日常=臨戦態勢」なので 上記のやり取りでいけば 侍は刀を腰に挿して立っているだけだとしても悪者と同じく 刀を抜いて構えているのと同じ状態にいる 敵が先に仕掛けたとしても 十分対応できる立場にいる・・・となったわけです

ですので「居合」は「射程2Mの銃器」「弓を引き絞った状態を日常とする」「究極の後の先」(相手から先制攻撃を受けてもその仕掛けに応じ先手を取る)ともいわれます 古くからの武芸十八般 「弓術」「馬術(騎馬)「水術(泳法)」「薙刀術」「槍術」「「剣術」「小具足」「棒・杖術」「鎖鎌術」「分銅鎖術」「手裏剣術」「十手・鉄扇術」「含針術」「体術(柔・)」「捕縛術」「砲術」「忍術」 (時代・地方により諸説あり)などの一つに入っております

まとめますと 居合術は「敵の不意の攻撃に対して 一瞬の間を置かずに刀を抜き 敵に乗ずる隙を与えないで勝つ剣技」と言えます 相手をやっつける技術から 居合術の修行を通じて「日常でも武士として隙のない行動 心構えを養う」「刀を抜かずして相手に争うことを止めさせる気魂を身につける」など精神鍛錬が加わり「居合道」となったわけです

現代では帯刀(刀を腰に挿した状態)して生活することはなく 日本では武器を持って戦うことはほとんどありませんので 居合道修行も戦国時代の「敵の攻撃から身を守る」江戸時代の「武士としての嗜み」から 現代の「日本刀を用いた武道を楽しむ」「礼儀正しい所作を身につけたい」「老齢まで続けられる趣味を持ちたい」と健康増進 生涯教育へとなったわけです

実際の居合道の稽古ですが 基本的には「型の習得」がメインです たとえば「正面の敵が斬りかかって来たら」とか「左右正面からの敵が襲ってきたら」など 様々な場面に応じた業を習います お互いに打ち合うことはありませんし それぞれのペースで稽古ができますので 女性の方も一緒に楽しめます 若いうちは力強く激しく 年を重ねた方は渋く味のある演武になり 永年にわたり稽古ができtるのも魅力の一つでしょうか

上達のコツとしては 「武道」ですので「ボディビルのように筋肉に負荷をかけて鍛える」ではなく「体の隅々に神経を巡らせ消耗の少ない効率的な動きを身につける」でしょうか 今流行の「体幹トレーニング」にもなりますし「インナーマッスルの活用・ストレッチ効果」もありますので転びにくい 柔らかな体作りに最適です

高段者の演武での 紋付袴で 刀を自在に操る姿は 動作はゆったりとしていても 鋭く迫力があり 格好いいものです

当同好会の会員も始めた動機は 「骨董・刀剣が好きで」「歴史モノ・時代劇が好きで」「会社も定意になってなんかやりたい」と様々で 私のような剣道等の武道経験者は少ない方です でも皆様 稽古を通じその奥深さがわかってきますと 「もっと早くから始めてればよかった」と言う方もいるくらいです

日常を忘れ 様々な世代の方々が一緒に集まり「豪快にして優雅」な剣技をめざし 稽古を通じ 交流するのは 気持ちいいものです

― 桐生居合道同好会 ―

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